①-6 『因縁(うんめい)』 1
2017年7月25日 Boys&Gils6
その頃図書館では、ようやく客の抗議の声が治まり始めた頃だった。先程まで見られた、母親の腕の中で泣く子供や、警備員を怒鳴りつける男たちの姿も減り、休憩室で外の安全が確認されるのを待っている。
しかし一人だけ、休憩室に入ることなく、警備員と話をしている少年がいた。
「いや~。偶然にもあなたのような人がいてくれて助かりましたよ」
警備員の一人が少年に頭を下げている。
「それはどうでもいいです。それより、警備の皆さんにお願いしたいことがあります」
少年も警備員の言葉を受け流し、自分の話を進めた。
「はい…。何を?」
今度は向かって左の警備員が不思議そうな顔で尋ねる。
「ソウリュウ自然公園から、僕が今から言うポケモンを調達していただきたいんです。そうすれば、ここの皆さんを無事外に出すことが出来ます」
「ええっ!?」
「外に…?」
先ほど尋ねてきた警備員が声を上げて驚く。外の二人もつられて目を丸くした。
「し、しかし…外が完全に落ち着くまで、皆様にここにいていただいた方がよいのでは…?」
警備員の言うことは一般人からすれば正論だった。外はいつまた建物が爆発して倒壊するかわからないうえに、図書館内には危険物がないと確認されている。ならば、ここがソウリュウシティ内で一番安全だと考えるのが妥当だった。
しかし、少年だけはそうでないことを知っていた。真剣な顔で彼はこう告げる。
「そうじゃない。この図書館が一番安全なように見えて、実は一番“危険”なんです」
「誰かしら?あたしたちの邪魔をするのは」
白いユニフォームの女性が、それまで闘っていた少年の背後にいる別の少年に尋ねた。
「…いや、なんか面白そうなことしてるから、混ぜて欲しいなって思ってさ」
少年が楽しげな表情で答えた。すると女性は、先程までとは180度違った不機嫌そうな表情を見せた。闘いに水を差されて苛立っているらしい。
「面白そう…?馬鹿にしてるの?それとも、君のお友達?助太刀を頼むなんて、随分卑怯な真似するんじゃないの」
今度は今まで相手をしていた目の前の少年に問いかけた。
「いや、違う。僕は彼のことは知らない」
その頃図書館では、ようやく客の抗議の声が治まり始めた頃だった。先程まで見られた、母親の腕の中で泣く子供や、警備員を怒鳴りつける男たちの姿も減り、休憩室で外の安全が確認されるのを待っている。
しかし一人だけ、休憩室に入ることなく、警備員と話をしている少年がいた。
「いや~。偶然にもあなたのような人がいてくれて助かりましたよ」
警備員の一人が少年に頭を下げている。
「それはどうでもいいです。それより、警備の皆さんにお願いしたいことがあります」
少年も警備員の言葉を受け流し、自分の話を進めた。
「はい…。何を?」
今度は向かって左の警備員が不思議そうな顔で尋ねる。
「ソウリュウ自然公園から、僕が今から言うポケモンを調達していただきたいんです。そうすれば、ここの皆さんを無事外に出すことが出来ます」
「ええっ!?」
「外に…?」
先ほど尋ねてきた警備員が声を上げて驚く。外の二人もつられて目を丸くした。
「し、しかし…外が完全に落ち着くまで、皆様にここにいていただいた方がよいのでは…?」
警備員の言うことは一般人からすれば正論だった。外はいつまた建物が爆発して倒壊するかわからないうえに、図書館内には危険物がないと確認されている。ならば、ここがソウリュウシティ内で一番安全だと考えるのが妥当だった。
しかし、少年だけはそうでないことを知っていた。真剣な顔で彼はこう告げる。
「そうじゃない。この図書館が一番安全なように見えて、実は一番“危険”なんです」
「誰かしら?あたしたちの邪魔をするのは」
白いユニフォームの女性が、それまで闘っていた少年の背後にいる別の少年に尋ねた。
「…いや、なんか面白そうなことしてるから、混ぜて欲しいなって思ってさ」
少年が楽しげな表情で答えた。すると女性は、先程までとは180度違った不機嫌そうな表情を見せた。闘いに水を差されて苛立っているらしい。
「面白そう…?馬鹿にしてるの?それとも、君のお友達?助太刀を頼むなんて、随分卑怯な真似するんじゃないの」
今度は今まで相手をしていた目の前の少年に問いかけた。
「いや、違う。僕は彼のことは知らない」
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