①-5 『奇襲(テロリズム)』 2
2017年7月11日 Boys&Gils「ああ、頼む。俺は書物を守らなきゃならねぇからすぐには向かえない。悪いな」
年上の少年も悔やむようにそう言って、年下の少年を見送った。そしてさっそく机の上の本を整理し始める。
(大事にはならないでくれよ…)
部屋に一人残された少年は、本を片付ける手を止めることなく、ひたすらそう祈り続けた。
図書館から外に出た少年は、改めて街の惨劇を見て絶望した。建物の大部分は倒壊し、煙を吹き、地上では人々が逃げ惑っており、周囲の人口は着々と減りつつある。今や数分前までの景色の面影など、微塵も感じられなかった。なぜ、この短時間でこのような惨劇が起こったのか。
「一体、どうして…」
少年はなんとか冷静さを取り戻し、視野を広げようと周囲を振り返る。四方八方が煙の嵐。一斉にこれだけの範囲を、都市の警備をかいくぐった上で外部から襲撃するのは不可能と見えた。そうなれば、残された仮説は一つしかない。
(初めから仕掛けられていたんだな…)
そう、それぞれの施設・建造物に犯行を行った集団の人間が潜伏していて、念入りな計画の元で実行された、と少年は推測する。そして、その人物たちは今もこの都市内に、街にいるに違いなかった。そして少年は決心をして、その場から走り出す。
その頃、図書館の中に残った年上の少年も、そこでの混乱状態に対応できずにいた。机の上の本を整理し終え、アタッシュケースにしまい終えると、彼も年下の少年の後を追おうと図書館を後にしようとしたのだった。しかし、想定外の出来事が起きた。
(な…出入り禁止!?)
自動ドアの前には「出入り禁止」と書かれた看板が立てられており、数人の警備員が並んで扉を塞いでいた。そしてそこに大勢の客が集まり、大声で抗議している。
「おい、ふざけんな!」
「なんで出ちゃいけねえんだよ!」
「あたしたち、死ぬかも知れないのよ!?」
内容は、このような 罵声ばかりだった。
「皆さん落ち着いて下さい。ただいま館内全域の部屋と機械類を監視カメラ及び我々警備の手で確認しましたが、危険物は発見されませんでした。感知器も反応しておりません。騒ぎが静まるまで、もうしばらくお待ちください!」
警備員も必死で客の説得を試みるが、誰もそれを聞こうとはしない。むしろ罵声は更に激しさを増していた。
「これが落ち着いていられるかよ!」
「そんなの信用できないわ!見落としてるか、よっぽど高性能な爆弾の可能性だってあるでしょう!?」
年上の少年も悔やむようにそう言って、年下の少年を見送った。そしてさっそく机の上の本を整理し始める。
(大事にはならないでくれよ…)
部屋に一人残された少年は、本を片付ける手を止めることなく、ひたすらそう祈り続けた。
図書館から外に出た少年は、改めて街の惨劇を見て絶望した。建物の大部分は倒壊し、煙を吹き、地上では人々が逃げ惑っており、周囲の人口は着々と減りつつある。今や数分前までの景色の面影など、微塵も感じられなかった。なぜ、この短時間でこのような惨劇が起こったのか。
「一体、どうして…」
少年はなんとか冷静さを取り戻し、視野を広げようと周囲を振り返る。四方八方が煙の嵐。一斉にこれだけの範囲を、都市の警備をかいくぐった上で外部から襲撃するのは不可能と見えた。そうなれば、残された仮説は一つしかない。
(初めから仕掛けられていたんだな…)
そう、それぞれの施設・建造物に犯行を行った集団の人間が潜伏していて、念入りな計画の元で実行された、と少年は推測する。そして、その人物たちは今もこの都市内に、街にいるに違いなかった。そして少年は決心をして、その場から走り出す。
その頃、図書館の中に残った年上の少年も、そこでの混乱状態に対応できずにいた。机の上の本を整理し終え、アタッシュケースにしまい終えると、彼も年下の少年の後を追おうと図書館を後にしようとしたのだった。しかし、想定外の出来事が起きた。
(な…出入り禁止!?)
自動ドアの前には「出入り禁止」と書かれた看板が立てられており、数人の警備員が並んで扉を塞いでいた。そしてそこに大勢の客が集まり、大声で抗議している。
「おい、ふざけんな!」
「なんで出ちゃいけねえんだよ!」
「あたしたち、死ぬかも知れないのよ!?」
内容は、このような 罵声ばかりだった。
「皆さん落ち着いて下さい。ただいま館内全域の部屋と機械類を監視カメラ及び我々警備の手で確認しましたが、危険物は発見されませんでした。感知器も反応しておりません。騒ぎが静まるまで、もうしばらくお待ちください!」
警備員も必死で客の説得を試みるが、誰もそれを聞こうとはしない。むしろ罵声は更に激しさを増していた。
「これが落ち着いていられるかよ!」
「そんなの信用できないわ!見落としてるか、よっぽど高性能な爆弾の可能性だってあるでしょう!?」
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