「なるほど…。これが一昨日奪われそうになったっていう…」
「そうさ。なんとか阻止できたんだが」
「奪おうとしたってことは…もう解析の方法や復活の方法をもう分かってるんでしょうか…?」
 少年はますます表情に懸念の色を込める。できれば予感よ的中しないでくれ。そんな願いが顔から読み取れる。
「さあ、わかんねェな…。もう分かっているのか、あるいは…」
「…」
 少年は男の顔をじっと見つめて彼の答えを待つ。この一瞬が数分にさえ感じられた。
「解析の手段はわからなくても、その手段の”情報源”ってやつを掴んでるかもしれねぇ」
 男はそれまで以上に真剣な顔で、患者に病名を告げる医師のようにはっきりと答えた。それを聞いた少年はの顔はさらに、まさしく患者のように不安で青く染まっていく。
「つまり…まさか“あいつ”!」
 少年はガタッと音を立てて立ち上がった。
「その可能性は十分ある。それを考慮に入れるなら、急いだ方がいいな」
 男はそれまでの真剣な表情は崩さなかったが、少年を急かすように、無意識に早口になっていた。表情は変わらなくとも、事の重大さを知って焦っているのは彼も同じだった。
「…僕、行ってきます!」
「ああ。頼む。俺も行きてえところなんだが、こっちで一刻も早く宝玉の解析を進めなきゃならねぇんだ。悪いな」
「大丈夫です。あいつに何かあってからじゃもう遅い…」
 早口にそう言うと、少年は床に下ろしていた荷物を抱えて扉へと向かった。
「すいません、わざわざありがとうございました。それじゃ…」

 その時だった。

ズシャアアアァァァァン!

「「!?」」

 建物の外で、それも、それほど遠くない場所で、大きな爆音が鳴り響いた。

コメント

日記内を検索