①-3 『前兆(まえぶれ)』 3
2017年6月29日 Boys&Gils 僕は林の中の道を真っ直ぐ歩いていた。他に通行人はいない。危険なポケモンの住処になるほど大きな林でも無い。しかし、だから安全かといえば、そうではなかった。
まず、背の低い草が揺れているのを感じる。確かに風は多少吹いているが、風の強さと植物の揺れ方が余りにもミスマッチで、誰かが木々を揺らしているとしか思えない強さの揺れだった。
そして、空気に面している肌が妙に痺れている。これは姿勢などで自然に起こるような痺れではなく、何らかの外的要因によって引き起こされているもの。たとえばー電気。
「!?」
周囲の木からザワザワっ、と物音が聞こえてきたかと思うと、全ての元凶と思われる“それ”が僕の目の前に姿を現した。存在を知られたことを悟って攻撃することを決めたらしい。
手のひらに載るサイズの、黄色い小さな生き物。一本の木から数十匹、合計すると百数十匹はいると思われる。
「バチュル…」
イッシュ(この地)に来る前に調べたことがある。餌である電気を求めて大都市に稀に出現し、人間の生活を妨げているという。しかし、そんなポケモンがこんな自然の中で通行人を襲うというのは、少し違和感があった。
「ジジッ…ジジッ…」
バチュルたちは一斉に僕への間合いを詰め始めた。これは明らかに野生の動きではない。トレーナーに飼い慣らされ、覚えさせられたものだった。そう考えれば、先程の疑問も解決する。
一体何の目的で誰がこんなことをしているのかわからないが、こうなれば僕もポケモンで対抗するしかない。そう思って、腰にあるモンスターボールを取り出し、中からポケモンを出そうとした。しかし、
「な…!?」
ボールのボタンを押しても、一切反応がない。カチッカチッという音だけが耳に入ってくる。もしかして壊れたのか?そう思って、さっき使ったばかりのハガネールのモンスターボールも動揺に押したが、同じ結果だった。
ここで僕は、現れたのポケモンにもう一度目を向けた。全てが合点した。
「なるほどね…僕のモンスターボールも、“餌”にされちゃったわけか」
まず、背の低い草が揺れているのを感じる。確かに風は多少吹いているが、風の強さと植物の揺れ方が余りにもミスマッチで、誰かが木々を揺らしているとしか思えない強さの揺れだった。
そして、空気に面している肌が妙に痺れている。これは姿勢などで自然に起こるような痺れではなく、何らかの外的要因によって引き起こされているもの。たとえばー電気。
「!?」
周囲の木からザワザワっ、と物音が聞こえてきたかと思うと、全ての元凶と思われる“それ”が僕の目の前に姿を現した。存在を知られたことを悟って攻撃することを決めたらしい。
手のひらに載るサイズの、黄色い小さな生き物。一本の木から数十匹、合計すると百数十匹はいると思われる。
「バチュル…」
イッシュ(この地)に来る前に調べたことがある。餌である電気を求めて大都市に稀に出現し、人間の生活を妨げているという。しかし、そんなポケモンがこんな自然の中で通行人を襲うというのは、少し違和感があった。
「ジジッ…ジジッ…」
バチュルたちは一斉に僕への間合いを詰め始めた。これは明らかに野生の動きではない。トレーナーに飼い慣らされ、覚えさせられたものだった。そう考えれば、先程の疑問も解決する。
一体何の目的で誰がこんなことをしているのかわからないが、こうなれば僕もポケモンで対抗するしかない。そう思って、腰にあるモンスターボールを取り出し、中からポケモンを出そうとした。しかし、
「な…!?」
ボールのボタンを押しても、一切反応がない。カチッカチッという音だけが耳に入ってくる。もしかして壊れたのか?そう思って、さっき使ったばかりのハガネールのモンスターボールも動揺に押したが、同じ結果だった。
ここで僕は、現れたのポケモンにもう一度目を向けた。全てが合点した。
「なるほどね…僕のモンスターボールも、“餌”にされちゃったわけか」
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