①-3 『前兆(まえぶれ)』 2
2017年6月28日 Boys&Gils『どちらも、餓鬼に邪魔をされたらしい』
「それでは…二つが手に入るのは…?」
『もう少し先だ』
「はぁ…」
男の口から溜息が漏れた。自分の悪い予想は一切裏切ってもらえず、渋々現実を受け容れるしかない。
『まあ、予想していたことだ。落ち込む暇があったら宝玉の研究を続けることだな』
「は、はいぃ…」
『なあに。相手は“英雄”とはいえ所詮餓鬼だ。重い駆け引きには弱いだろう。すぐに二つとも手に入る』
「そう、ですね…ふくくくく…」
通話先の男に慰め(?)の言葉をかけられると、それまでとは一転、初めの楽しげな表情を復活させた。彼は感情の機転が激しいらしい。
『既に次の手は打ってある。心の弱い餓鬼にしか効果の無いであろう、慈悲無き残酷な駆け引きだ』
「そ、それはいかにも楽しみな…ふくく」
『…では、研究を続けてくれ』
「Yes!ぶらざ殿!」
そう言って眼鏡の男は通話を切って携帯を机の上に置いた。そして、先程までの至福の時間に再び入り浸るのだった。
「魔獣は…すぐそこにいる…。ふくく、アハハハハハヘハ!」
僕はセッカという街から二時間半ほど歩き続け、ようやく目の前に別の都市が見えてきた。通常であれば二時間ほどで到着すると聞いていたが、途中でおかしな連中と遭遇し、撃退する羽目になってしまったので予定より時間がかかってしまった。
彼らと戦闘する直前に彼らの会話の内容が少しだけ聞こえてきたが、“宝玉”といった謎の単語が含まれていた。何かの喩えなのか、それとも彼らは何か宝物でも狙っているのか…。多少謎めいた会話だったが、自分には関係ないだろうと割り切って、考えるのを止めることにした。
そうして歩いていると、目の前に林が見えてきた。これを抜けると、ソウリュウという都市に到達するらしい。そんなに長くなさそうなので、すぐに抜けられるだろう。そう思って、僕は木々の中に足を踏み入れた。
この時、中に罠があることを僕は知る由も無かった。
「それでは…二つが手に入るのは…?」
『もう少し先だ』
「はぁ…」
男の口から溜息が漏れた。自分の悪い予想は一切裏切ってもらえず、渋々現実を受け容れるしかない。
『まあ、予想していたことだ。落ち込む暇があったら宝玉の研究を続けることだな』
「は、はいぃ…」
『なあに。相手は“英雄”とはいえ所詮餓鬼だ。重い駆け引きには弱いだろう。すぐに二つとも手に入る』
「そう、ですね…ふくくくく…」
通話先の男に慰め(?)の言葉をかけられると、それまでとは一転、初めの楽しげな表情を復活させた。彼は感情の機転が激しいらしい。
『既に次の手は打ってある。心の弱い餓鬼にしか効果の無いであろう、慈悲無き残酷な駆け引きだ』
「そ、それはいかにも楽しみな…ふくく」
『…では、研究を続けてくれ』
「Yes!ぶらざ殿!」
そう言って眼鏡の男は通話を切って携帯を机の上に置いた。そして、先程までの至福の時間に再び入り浸るのだった。
「魔獣は…すぐそこにいる…。ふくく、アハハハハハヘハ!」
僕はセッカという街から二時間半ほど歩き続け、ようやく目の前に別の都市が見えてきた。通常であれば二時間ほどで到着すると聞いていたが、途中でおかしな連中と遭遇し、撃退する羽目になってしまったので予定より時間がかかってしまった。
彼らと戦闘する直前に彼らの会話の内容が少しだけ聞こえてきたが、“宝玉”といった謎の単語が含まれていた。何かの喩えなのか、それとも彼らは何か宝物でも狙っているのか…。多少謎めいた会話だったが、自分には関係ないだろうと割り切って、考えるのを止めることにした。
そうして歩いていると、目の前に林が見えてきた。これを抜けると、ソウリュウという都市に到達するらしい。そんなに長くなさそうなので、すぐに抜けられるだろう。そう思って、僕は木々の中に足を踏み入れた。
この時、中に罠があることを僕は知る由も無かった。
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