①-2 『遭遇(であい)』 9
2017年6月26日 Boys&Gils 男は少年たちにそう言い残し、彼らに背を向けて歩いて行った。他の男たちも、彼に付き従うように着いていく。
「てめえら、今日は引くぞ」
「Yes、Brother!」
これで、ひとまず騒ぎは終了した。少年にとっては、不意に訪れた後味の悪い終わりだったが。
「あの、助けてくれてありがとうございました!」
襲われていた少女は、素直に少年に感謝を示す。深く頭を下げており、律儀な子だな、と少年は感じた。
「…別に助けたわけじゃないさ。僕、ああいう幼稚な大人見てると、腹立つからさ」
「は、はあ…」
あまりに冷たい返事だったので、それ以降の返事に困ってしまう。しかし、だからといってきちんと恩も返さずこのまま適当にやり過ごしたくもなかった。
「まあでも、結果的には助けられたわけだし!それに…そうだ、あたし、“メイ”って言います!」
「…僕、“シュウト”。それから、別にタメ語でもいいよ」
「うん…よろしく!」
なんとか会話が出来て安心したのか、メイの表情に笑顔が浮かんだ。しかし、それも一瞬だった。
「…それで、僕もう行こうと思ってるんだけど、いいかな」
「えっ…あ、そうだ!あたし、この本、博士に届けなきゃいけないんだった!」
メイは手元のバッグを見て、大切なことを思い出した。彼の闘いを見ることとお礼を言うことに夢中で忘れていたが、バッグの中に入っている本をある人物に届けなければならない。
中には本がきちんと入っている。“授命の理 下巻”。間違いない。
「…じゃあ、気をつけて」
少年はそう言うと少女に背を向け、歩き出した。
「今度会ったら何かお礼するから、よろしくねー!」
メイも捨て台詞のようにそう叫びながら、自分の目的地へと走って行った。少年が振り向くことはなかったが。
「てめえら、今日は引くぞ」
「Yes、Brother!」
これで、ひとまず騒ぎは終了した。少年にとっては、不意に訪れた後味の悪い終わりだったが。
「あの、助けてくれてありがとうございました!」
襲われていた少女は、素直に少年に感謝を示す。深く頭を下げており、律儀な子だな、と少年は感じた。
「…別に助けたわけじゃないさ。僕、ああいう幼稚な大人見てると、腹立つからさ」
「は、はあ…」
あまりに冷たい返事だったので、それ以降の返事に困ってしまう。しかし、だからといってきちんと恩も返さずこのまま適当にやり過ごしたくもなかった。
「まあでも、結果的には助けられたわけだし!それに…そうだ、あたし、“メイ”って言います!」
「…僕、“シュウト”。それから、別にタメ語でもいいよ」
「うん…よろしく!」
なんとか会話が出来て安心したのか、メイの表情に笑顔が浮かんだ。しかし、それも一瞬だった。
「…それで、僕もう行こうと思ってるんだけど、いいかな」
「えっ…あ、そうだ!あたし、この本、博士に届けなきゃいけないんだった!」
メイは手元のバッグを見て、大切なことを思い出した。彼の闘いを見ることとお礼を言うことに夢中で忘れていたが、バッグの中に入っている本をある人物に届けなければならない。
中には本がきちんと入っている。“授命の理 下巻”。間違いない。
「…じゃあ、気をつけて」
少年はそう言うと少女に背を向け、歩き出した。
「今度会ったら何かお礼するから、よろしくねー!」
メイも捨て台詞のようにそう叫びながら、自分の目的地へと走って行った。少年が振り向くことはなかったが。
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