①-2 『遭遇(であい)』 6
2017年6月21日 Boys&Gils「落ちる前にやれ!マニューラ、“あくのはどう”!」
「デスカーン、お前もだ!“シャドーボール”!」
残りの二人もようやく勢力に加わった。ポケモンたちは彼らの指示通り、岩が落ちきる前に落下地点から移動してウォーグルへの攻撃を開始する。
「ウォーグル、もう一度避けて!」
少女も負けじと指示を出す。しかし、この後彼女たちは自分たちの失態に気付くこととなる。
「…それはどうかな?」
リーダー格の男が不敵な笑みを浮かべ、そう呟いた。少女は一瞬その意味がわからなかったが、さらに一瞬後、ウォーグルの姿を見て呆然とする。
「!?」
ウォーグルが、敵の攻撃を受けて落下していた。確かに避けるように指示していた。その命令のタイミングは間に合っていたはず。なのに直撃を受けている。
「どうして…?」
「…隙ありだ!デンチュラ!」
リーダーの男は少女が敵から気を逸らしたことを確認し、デンチュラに指示を出す。最初の時のように頑丈な糸を吐き出し、今度は少女の胴体に腕ごと巻き付けた。これでもう上半身の自由はきかない。
「し、しまっ…」
少女はもがいたが、何重にも巻き付いた硬い糸が切れるはずもなかった。
「隙を見せちゃダメじゃねえかよ、姉ちゃん」
「くっ…」
少女は悔しさで歯を食いしばった。
「それと、ネタばらしをしてやる。追い風に頼り切って安心してたみてえだが、さっきのクロバットとココロモリの攻撃で追い風を打ち消してやったのさ。気付かなかったかい?」
「!!」
そこでようやく少女は自分の盲点に気付いた。追い風は、“エアカッター”と“エアスラッシュ”によって、すでに使い物にならなくなっていたのだった。
「一瞬の隙がこうして形勢を変えちまう。バトルって怖いよなあ!さて、本を渡してもらうぜ…」
そう言うと、男は少女の方へと歩み寄ってきた。完全に拘束されている今の彼女では、抵抗することも出来なければ、バッグの中の大切なものを守ることも出来ない。絶望的だった。
「意外と簡単に手に入ったな…。今頃“宝玉”の方はうまくいってるかな…?ヘヘヘ」
男は完全に勝ち誇った顔で呟いた。
「“宝玉”…?まさか、アイラの!」
少女は男の言葉を聞いてますます不安を募らせた。今ここにはないもう一つの“奪われてはならないもの”。それが男の言った“宝玉”だった。それが今、敵の手に渡っているかも知れない。
「デスカーン、お前もだ!“シャドーボール”!」
残りの二人もようやく勢力に加わった。ポケモンたちは彼らの指示通り、岩が落ちきる前に落下地点から移動してウォーグルへの攻撃を開始する。
「ウォーグル、もう一度避けて!」
少女も負けじと指示を出す。しかし、この後彼女たちは自分たちの失態に気付くこととなる。
「…それはどうかな?」
リーダー格の男が不敵な笑みを浮かべ、そう呟いた。少女は一瞬その意味がわからなかったが、さらに一瞬後、ウォーグルの姿を見て呆然とする。
「!?」
ウォーグルが、敵の攻撃を受けて落下していた。確かに避けるように指示していた。その命令のタイミングは間に合っていたはず。なのに直撃を受けている。
「どうして…?」
「…隙ありだ!デンチュラ!」
リーダーの男は少女が敵から気を逸らしたことを確認し、デンチュラに指示を出す。最初の時のように頑丈な糸を吐き出し、今度は少女の胴体に腕ごと巻き付けた。これでもう上半身の自由はきかない。
「し、しまっ…」
少女はもがいたが、何重にも巻き付いた硬い糸が切れるはずもなかった。
「隙を見せちゃダメじゃねえかよ、姉ちゃん」
「くっ…」
少女は悔しさで歯を食いしばった。
「それと、ネタばらしをしてやる。追い風に頼り切って安心してたみてえだが、さっきのクロバットとココロモリの攻撃で追い風を打ち消してやったのさ。気付かなかったかい?」
「!!」
そこでようやく少女は自分の盲点に気付いた。追い風は、“エアカッター”と“エアスラッシュ”によって、すでに使い物にならなくなっていたのだった。
「一瞬の隙がこうして形勢を変えちまう。バトルって怖いよなあ!さて、本を渡してもらうぜ…」
そう言うと、男は少女の方へと歩み寄ってきた。完全に拘束されている今の彼女では、抵抗することも出来なければ、バッグの中の大切なものを守ることも出来ない。絶望的だった。
「意外と簡単に手に入ったな…。今頃“宝玉”の方はうまくいってるかな…?ヘヘヘ」
男は完全に勝ち誇った顔で呟いた。
「“宝玉”…?まさか、アイラの!」
少女は男の言葉を聞いてますます不安を募らせた。今ここにはないもう一つの“奪われてはならないもの”。それが男の言った“宝玉”だった。それが今、敵の手に渡っているかも知れない。
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