「い、いや…全部お前が難なく事を解決しちゃいそうだったから、俺の入ってく隙間なんてなかったんだよ…ぶつぶつ」
「はあ…何やってんだか」
「お、俺が入ってったって邪魔になるだけだったろ!?妥当な判断だと思ったけどな」
「そうね、自分の妹に余計な遠慮しちゃうような情けないお兄ちゃんなんて来てくれない方が良いわ」
「その言い方は寄せって昔から言ってるだろ…」
 さすがに言葉が強く刺さったのか、少年の語尾が弱くなった。
「言い返すならもっと強気になればいいじゃない」
「…」
「あんたね…それでもツイてんの?」
「なっ!おまっ…!いくらなんでもレディの口から出る言葉じゃないんじゃないのか!?」
 さすがに予想外の言葉だったのか、彼は動揺して、下半身の某所を押さえながら顔を赤らめた。
「何よ?あたしは“ツイてる”と言っただけで、何がとは言ってないけど。自覚あるんじゃないの?」
 先程まで少年に呆れたような態度を見せていた少女だったが、徐々に少年を小馬鹿にするような表情を見せ始めた。
「良い性格してねえな…本当に」
「はいはいしてませんよー。それにしても、こんなことじゃ、アイラの神殿も創世の祠も任せられないわね」
「…そういえばお前、結局取り返した宝玉は神殿に戻すのか?」
「…まあね。目をつけられてるって事は、あの宝玉に何か変化があった可能性もあるわ」
 すると、少年の目が見る見る色を変えていった。
「お前…そんなことして、もし石碑が宝玉に反応しちまったらどうなるかわかってんのか!?」
「…わかってるわよ…そのくらい」
 先程までとは逆に、今度は少女の側が弱気な表情と語調を見せ始めた。少年は妹の肩をつかんで、揺さぶり始めた。
「わかってるならなんでそんな危険冒す必要があるんだよ!?お前が行きて地上に出られる保証はないんだぞ?」
「でも…誰も何もしないで、もし玉に力が復活してて、誰かの手に渡ったら、あたし一人の命じゃ済まされないんだよ?また大勢の人が傷付いて、三年前と同じ事になるかもしれないの!」
「だからってお前…お前が死ぬことないだろ」

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